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松田文彦

1984年より京都大学医学研究科の本庶佑教授のもとでヒト抗体H鎖遺伝子座の構造の解明に一貫して取り組み、15年にわたる研究の結果、1998年に約1Mbの全領域の塩基配列を決定し、抗体の多様性の分子基盤の解明に成功した。

1998年より2007年までは、フランス国立ジェノタイピングセンターの部長として、複合遺伝性疾患の感受性遺伝子の探索に従事し、網羅的ゲノム解析によって肺がんの感受性遺伝子、高脂血症薬スタチン服用の重篤な副作用である横紋筋融解症の原因遺伝子の同定に成功した。

2003年4月から京都大学医学研究科教授を併任し、ヒト生物学研究のモデルケースとして、一万人の地域住民を対象としたゲノムコホート研究「ながはま0次コホート事業」を開始した。また2011年より厚生労働省/日本医療研究開発機構の難病の遺伝子解析拠点として、多くの多施設共同研究を推進している。さらに、2017年より国をあげた新たな難病対策の基盤となる難病プラットフォーム事業の研究代表者として難病レジストリの構築を推進している。

2016年11月からは、パスツール研究所と京都大学の国際共同研究ユニットの研究コーディネータを務めており、ウィルス感染症の生命情報統合解析をパスツール研究所と進めている。

ゲノム医学分野における日仏科学協力への長年の貢献により、2021年1月25日フランス共和国より国家功労勲章シュヴァリエに叙された。

京都大学教授  大学院医学研究科附属ゲノム医学センター センター長。